医師と純は向かい合うと医師の方から話し始めた。
「お名前は?」
「坂木です」純は、いたって普通に答えた。
下の名前はと医師は続けた。
「純です」
「はい。では、今おいくつですか?」
「21です」
それからも医師の質問は、いくつか続いた。
純は、ここ最近の出来事を聞かれると事実を告げた。
それに対して医師は、一瞬、同伴した父と姉の顔を見遣った。
医師は、父と姉が頷いたのを見て言った。
「一応、専門の病院で診てもらった方がよいですね」
「と言いますと先生?」父が尋ねた。
「精神科です」医師は、はっきり言った。
その言葉に父と姉、そして純は、動揺を隠せなかった。