(これからどうすっかな…)
リィンはぼーっとしながらそんなことを考えていた。
あの国に帰っても居場所はなく、旅をしようにも目的がない。
そんなことを考えていると後ろから声がした。
あの兵士だ。
「…どうした?」
「いえ、戻ってこないので心配で…」
この言葉を聞いて、リィンは吹き出しそうになった。「俺が心配、か。…お人好しだな」
「よく言われます」
「…ところで、その後ろの女は誰だ?」
リィンは少し険しい表情で言った。
兵士は後ろの人間に気付いてなかったようだ。
「ひ、姫様!?何故こんなところに!?」
「…グラウディアを見に来た」
兵士を退けて二人は互いに近付いた。
「初めてじゃねーな?
十年前から飯を運んでくれたやつだ」
「…国には戻らないのでしょう?」
「…ああ、戻る気はねぇ。
じゃあな」
「…待って」
去ろうとしたリィンを姫は呼び止めた。
「最後に、貴方の獣の姿を見せて」
リィンは何も言わずに姫に近寄り、しゃがんだ。
「いいぜ、よくみてろよ」次の瞬間、リィンは変化し吠えながら空を駆け抜けていった。
「巨大なドラゴン…それが貴方の姿なんだ…」
姫はしばらくの間リィンを見ていた…。
(続)