あたしは急いで家を飛び出た。だって待たせたくないもんっ!
「ゆっちゃん」
あたしが呼ぶとゆっちゃんは微かに笑った。
「今日はごめんな、用ができたから」
「ん。それより……」
「転校?」
不安が胸に広がる………。ゆっちゃんは私を見て笑った。
「本決まりじゃないけど、サッカー留学できる高校か転校できる………かも」
嬉しそうにゆっちゃんは笑う、まるで子供の頃みたいな笑顔。
「夢……‥」
「りな」
ぼーーっとしてしまった。ゆっちゃんが、私の顔を覗き込む。
「えへへ」
「どした?」
うまく笑えない――――。
「でも、ま・編入できるか微妙なんだよな」
「えっ」
思わず顔をあげる。
「まっ、頭もいいからベンキョーしなきゃいけないんだけど」
「あたまいい!!?」
……ぢゃ、無理じゃん!
「りな?」
「まだ、あんま言うなよ。でも有言実行したいからさ。」
「うん」
「てわけで、ベンキョーすっから。また詳しいことはあとでな」
ゆっちゃんは私の頭をポンポンすると、
「じゃな」
「もぅ!?」
名残おしいのはあたしだけ…‥。さっさと行っちゃう。