トントントントントントントントン――
『冷蔵庫に何があったっけ。おっ、ベーコンがあった。あと、卵はあるし。』
ジュワッ――――ッカチャカチャカチャカチャ―――――\r
聖人は手際良く、ベーコンと玉葱を炒め始めた。
『チャーハンはさ、フライパンで炒めた方が、パラパラの美味しいチャーハンが出来るんだぜ。』
『へぇ。あたし、いつも中華鍋で作ってた。』
タンタンタンタンタンタンタンタン―――――\r
『普通は中華鍋で作るんだろうけど、俺流チャーハンは、フライパンなのっ!!
フライパンの底に飯を押し付ける様にすんの。
マジで、こっちの方がうめぇんだって。
そして、最後にこれ―\r
昆布茶をサッ‥‥とな。』
『昆布茶も入れるの?!』
聖人ってば大丈夫―?!
『そっ。昆布茶入れたら美味いんだぜ。
はい。出来ました♪』
聖人は、食器棚から2枚のお皿を取り出し、チャーハンを、まぁるく綺麗に、盛り付けてくれた。
ダイニングのテーブルの上に、あたし達は向かい合って座った―\r
『聖人。ありがとう。美味しそう。』
『食ってから言えよ。けど、絶対美味いからな。これ、俺の自信作。』
あたしは聖人の作ってくれたチャーハンを、
スプーンでゆっくりと口元へ運んだ―\r
『お‥‥美味しいっっ‥‥‥!!』
『なっ?!だろ?!昆布茶が決め手かもな?!』
聖人は笑いながら、そう言った―\r
聖人―\r
いつも一人で御飯作って―\r
一人で食べてるのかな―\r
今度は、あたしが作ってあげるね―\r
聖人。今日は、色々とありがとう―\r
あたし―\r
聖人の新しい一面、また見つけたよ―\r
だから今日は、ちょっと嬉しい―\r
また一歩―\r
気持ちが少しだけ近付けた様な―\r
そんな気がしたから‥‥‥‥‥。