記憶

美紗子  2006-05-07投稿
閲覧数[1646] 良い投票[0] 悪い投票[0]

ぴぴぴぴぴ
目覚まし時計の音がする。いつもどおり左手でとめるとカーテンを開ける。
空は灰色の雲に覆われていて薄暗い。
何も変わらないいつもどおりの朝だ。
のろのろと制服に着替えるとぺたぺたと足音を立てて階段を下りる。
お父さんは仕事。
お母さんは・・・いつもならまだ寝てる時間なのに珍しくおきて仏壇に向かって何かつぶやいてる。おじいちゃんとでも話してるのだろうか。
そっとドアを閉めるとそのままトイレに行って洗面所で顔を洗う。
そのあと台所に行って冷蔵庫を開けて牛乳を取り出す。
乾燥機に伏せてあるコップをひとつとって牛乳を注ぐ。
棚から手のひらぐらいの大きさのクリームパンを取って口に入れる。
5口で食べ終えて牛乳で流し込む。
時計を見ると7時45分。いつもどおりの時間。
洗面所に行って歯を磨くと小さな声で言ってきますというと家を出る。
いつもの坂道をのそのそとのぼる。
学校につくと靴を履き替える。
1組の岡部くんがいつもどおりの場所で挨拶運動をしている。
「おはよう。」
みんなに向かっていうけど誰もこっちを振り向いてなんかくれない。
・・・そうだ。私無視されてるんだった。クラス中から。
いつものことなのに忘れてた。

・・・飛ぶか。

たんたんたんたんといつもどおりの階段の音がする。
きぃーっと屋上のドアのあく音。
ぱたぱたぱたぱたと校舎のふちに歩み寄ってたってみた。

あ・・・そうだ。忘れてた。
私、昨日飛び降りたんだった。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 美紗子 」さんの小説

もっと見る

ホラーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ