―すれ違い―
あれからゆうきと私は何度も溜まり場で顔を会わせた
ゆうきの大人っぽい仕草、タバコを深く吸うクセ、マイルドセブンの匂い、おっきい原付の音…
この夏はゆきにとって1番充実した夏になる…
そう思えた
ゆき「ねぇ、ゆうきは毎日ここで居てて朝帰ってくけど親は何にも言わないの?」
ゆうき「あー、俺んち父親だけだし、その父親もトラック乗ってっから殆ど家に居ないんだよ」
ゆき「へ〜♪それっていいね♪ウチなんかスッゴいうるさくて毎日早く帰って来いだの、夜出掛けるなだのマジでやんなるよ?」
ゆうき「ゆきは大事にされてんだな。でも育ちってゆうか幸せな家庭で育ったってお前見てたら分かるわ」
ゆき「大事にされてんのかなぁ?怒られてばっかだけどね(笑)」
ゆうき「されてるよ。めちゃめちゃ…」
そう言ったゆうきの顔はすごく寂しそうだった
ゆき「あっ!ねぇ、ゆうきって今彼女居ないの?って居る訳ないか(笑)毎日ここに来てるしね(笑)」
ゆうき「居るよ」
ゆき「え……」
すごく胸が痛くなった動揺を隠して会話するのが精一杯で下を向くと涙が溢れそうになるのをゆきは必死に我慢した
ゆうき「あれ?気付かなかった?俺、1週間くらい前から桂子と付き合ってんだ」
ゆき「桂子と…
そうなんだ」
「ゆうきは桂子の事が好きだったんだ…」
ゆうき「あー、まぁ電話番号教えてって言われてそっから告られて…まぁ女いねーしいっかなぁって…」
ゆき「おっ…おめでと!良かったね!」
ゆうき「あんがと」
ゆき「ゴメン!ちょっと用事思い出した!帰るね…」
ゆうき「おぉ気をつけて帰れよ 夜道危ないかんな」
今にも溢れそうな涙を堪えきれそうに無かったゆきは返事もせずにドアを閉めた
桂子は私の大事な友達…