「くっ…ゾンビは役にたたないな…なら次は…」
長谷部は少しまを置いてから目をつぶり頭の中でイメージを浮かべていくと上空から金属の破片が落ちてくる。
「ひゃ〜危ないな〜」
狐弦糸は軽く後ろに飛びのくと狐弦糸がさっきまでいた辺りから黒い霧のようなものが溢れ始めそれらは落ちてきた金属にまとわりつく。
「今度はなんや…?」
次第に金属は違いを結び付け西洋の甲冑のような姿を作り出す。
「はははは!さっきまでのゾンビとは違うぞ!デュラハンには弱点なんてない!」
「でゅらはん?なんやそれ?」
鎧騎士は静かに帯刀していた剣を抜き放ち構えるとジリジリと待ち構えているかのような姿勢をとる。
「なんや。異人さんの鎧なんか?ええやんチャンバラしよか!」
そう言い終わると同時に髪を刀状に作り替えデュラハンに袈裟斬りに振り下ろす!
ガキィン
と鈍い音が空間にこだました。
「なんや…楽しめそうやん」
その表情は戦いを愉しんでいる時の顔だった。
…………………
そのままどれだけ時間が経過しただろうか。10分、いや1時間か…。はたしてどれだけの時間が過ぎているのかもわからないほど狐弦糸とデュラハンの切り合いは続いていた。
(薫よ。此葉は見つかりそうか?)
「なんとなく長谷部部長の近くから気配を僅かには感じるんですが…どうしても特定出来ないんです…。」
(ふむ…周辺か…?それともあの男自体からとどっちじゃ?)
「えっと…どちらかと言えば長谷部部長本人からです。」
(ふむ…ならば恐らくは…、薫耳を貸すのじゃ)
「あっ、はい。……えっ……はい……。でもっ……わかりました。」
(では頼んだぞ薫。儂が術を発動してから動くのじゃ)
「はい。」
狐文は両手を前で組み精神を集中させていくとうっすらと両手が光り始める。
(陰明交差の法!)
「行きます!」
薫は誰もいない闇の方角へ走りだして次第にその闇に溶けていった。
「くっ…、はぁっ!」
狐弦糸が繰り出す一撃によりデュラハンの左肩から先が切り落とされる…が、その切り口から黒い霧のようなものが溢れ出し落ちた腕を繋げていく。
「たまらへんなぁ。何回斬ったらええねん、いい加減疲れるで…」
裂け目だらけの鎧になりながらもデュラハンは何事もなかったかのようにその剣で横薙ぎに斬り付けてくる。