フル活動していた脳が、突然活動を休止する。
湯気が出そうな感覚がする。
『うっひょー!!!スゲェ!!!!』
お兄ちゃんの声。
お兄ちゃんは10mを3歩で済ますほどの脚力の持ち主だから、あんまりビックリはしない。
毎回毎回、関心はするけどね。
私が部屋に着くと、お母さんとお兄ちゃんが何かに執着していた。
顔を寄り合わせて、その物体をしげしげと見つめているようだ。
それを見ているのがお父さん。無表情だけど、心の中では
『・・・どいてくれよ…』
と何度も何度も呟いている。絶対、そう。
話が逸れたな。お母さんとお兄ちゃんが顔を寄り合わせてみている物体は、多分パソコン。
『パーソナルコンピューター』かな。
引越しがてらにお父さんが買うとか買わないとか言ってたし。
「お父さん。コレ何?」
「パソコン。」
やっぱりね。けどなんか起動したら起動したでお母さんは
「アレ?固まっちゃった?」
とかぼやいてるし、それを聞いたお兄ちゃんは
「じゃあ叩くんだ!!叩いたら治る!!」
とか言って腕まくりしてるし。お父さんは遂にマウスに手を出したし。
私はお兄ちゃんとお母さんを引き剥がすし。
「お母さん、お兄ちゃん。ここはお父さんに任せようぞ。」
「おい啓止めろ;」
<<:え>>
パソコンの画面のすみっこの方に文字が出る。
お兄ちゃんがキーボードを触ったらしい。
「え?なんで<<けい>>って出ないんだ?」
「『仮名入力』・・・」
「へ?カナって誰だ?・・・あ!双子か!!」
「蓮が説明してくれる。」
「なっ。」
「アラ〜!蓮が教えてくれるの?お母さんも知りたいわぁ〜^^
ここはお父さんが設定とかしてくれるでしょ?
ホラホラ!お父さんの邪魔しちゃダメだから。部屋出るわよ!」
お父さんが満足げにパソコンに向かう姿がチラッと見えた。畜生っ。
スーツにお兄ちゃんから貰った変なにおいのする消しゴム入れといてやる。
『カナさん』について嘘話でも語ってやろうか。(酷
『仮名入力』…か。・・・・・・・?
<<:え>>……〜〜〜!!!!分かった!分かった!
じゃあ早速キーボードで確かめたら!
“ガチャ、ガチャ”
「・・・・」
NO〜!!!!!!!
〜続〜