狐弦糸は横薙ぎを軽い跳躍で避けると再び構えた。
「さっさと終わらせへんとなぁ…」
そういうと髪を刀から巨大な槌へと再変換させると槌を引きずりながらデュラハンとの間合いを調節する。
「洋介のアドバイスにしたがってみようかねぇ」
そう言って槌に両手を添えた瞬間デュラハンからの袈裟斬りが襲い掛かる。
「よぉいしょぉお!」
掛け声とともに槌を振り上げて袈裟斬りを剣を持った篭手ごと吹き飛ばす!
そのまま後ろに数歩よろめくデュラハンに対して上段から一気に槌を振り下ろす!
「どないや!」
ズゴオォォン!
文字通りぺしゃんこになった甲冑から黒い霧が溢れ出してくる。
「おまけや!狐火!」
そういいながら甲冑から溢れ出す霧に焔を浴びせる。
焔を浴びた霧は蒸発するかのように霧散していった。
「洋介の言ってた通り中身は火に弱いみたいやなぁ」
「そんな…デュラハンが…」
長谷部は青ざめた顔でその戦いの終わりを見ていた。
(主よ、お前の悪夢もあまり期待は出来ないな。ここは我が相手をしよう。)
「最初からお前が出てればよかったんだ。早く何とかしろ!」
(御意。)
そういって獏が実体を現し地鳴りを起こしながら歩いてくる。
「やっとあんたの出番か?」
(たかが狐風情が…、我に敵うと思うなよ)
「象風情が達者な口を聞くもんやなぁ。おとなしく草でも喰ってればええんに」
(我を愚弄するか!)
獏はその長い鼻を横薙ぎに振り回す。
「そんなん大振りが当たるかい!」
そういって軽い跳躍を繰り返しながら後退していく。
(後ろに下がるだけでは我は倒せぬぞ!)
そういいながらなおも獏は連続して攻め立てる。
「(こんくらいでええかな…)今や!」
そう狐弦糸が叫んだ瞬間…
「うわっ!?」
長谷部が叫びながら倒れる。
(貴様!?よもや!?)
倒れた長谷部の方から瓶がふわふわと浮かんだまま狐文の元へと近付いて行く。
「ありました!」
(うむ。よくやった薫)
そう言って手の印をくずすとそこには瓶を持った薫が現れた。
(おのれ!もう1匹の狐は妖術使いか!?)
「気付くの遅いねん!」
叫びながら狐弦糸は自分の足元の髪を引っ張ると獏は体制を崩しその巨体が倒れる!
「薫!蓋を開けるんや!」
「はい!」
薫が瓶の蓋を開けるとそこには此葉が現れた。