―――雪が。
純白の雪がひらひらと降っている。
彼はそれを、いつもの場所に立ち感じていた。
真っ白な雪は町をおおうように降っていて、分厚い雲の隙間をくぐり抜けた日の光が、積もろうとするそれを無残にも溶かしている。
子供たちは日陰に残った雪をかき集めて像を作り、大人たちは迷惑そうに雪掃きをしていた。
アイサはそれを、教会の扉の前に立ち眺めていた。
少しずつ、ずれていく二人。
でも、アイサは彼を兄のように思っていたし、また彼もアイサの事を妹のように思っていた。
兄弟喧嘩。
言ってしまえば、ただそれだけなのかもしれなかった。