その乱暴で解らない大人達のボスだと私は勝手に思い、恐れていたのが祖父であった。
祖父はいつも孫達を遠くから眺めているだけで大して交流はしなかった。
規律を重んじる性格と、家長であるという事、父と同じで子供との接し方が分からず、不器用であったのも理由かもしれない。
いつも祖父の食卓は一番奥で、私達子供とは近くで食べる事はあまり無かった。
しかしごくたまに私達兄妹を近くに呼んで共に食事をする事があった。
私達は祖父の横に並んで座らされた。兄は祖父の初めての男の孫であり、特別に可愛がられていた。
兄は胡座を許され、私は正座を強要された。
私が痺れた足を少しでも崩そうものなら素速く手が飛んできた。
「足さ崩すな」
私達兄妹は分け隔てなく育てるという母の方針から、男だから女だからなど考えた事も無かった為、何が何だかさっぱり飲み込めなかった。
そんなこちらの苦難も構わず、へらへら胡座をかいてご飯を食べてる兄を恨めしく思っていた。
祖父は頑固で正義感が非常に強かった。
幼い私には知る由も無かったのだが、その頃この町で大きな問題が最終局面を迎えていた。