「記憶喪失…?」亮はドラマや漫画などに出てくる単語を聞いて、目を丸くする。嘘…だろ?「ウン、おそらく、車が来てるのに気づいた友梨さんは、よっぽど怖かったんだろうね。だから、記憶が」亮は口を噤んだ。友梨が記憶喪失…?嘘だ…亮は再び友梨の病室に行った。「友梨」亮が私を呼ぶ。私は亮、という男の子を振り返った。少し、つらそうな顔をしている。「どうしたの?亮さん…」私は亮に尋ねた。亮は少し間を開けてから、私に言った。「お前…記憶喪失なんだってさ」亮の口から告げられた言葉に、私は目をパチクリさせる。記憶喪失?私が?「ねぇ、亮さん私と亮さんは、どんな関係だったの?」私は唐突に思いついたことを亮に聞いた。亮は私に向き直って、私の問いに答えてくれた。「俺とお前は、幼なじみだったんだ」幼なじみ。そう、ただの。その後、亮がわざと明るく言った。「けどさっ、後2日位で退院出来るってさ」私はうなづいて目を閉じた。