その内容は母さんが入院した、ということだった。その日たまたまお兄ちゃんは寝坊して遅刻してしまった。外に出ていそいで自転車に乗って門を出た。そしたら母さんはごみ置き場の前で倒れていた。近所の人と、お兄ちゃんが気づいてくれなかったら今頃死んでいたそうだ。そのとき母さんは鼻から血を出していたらしく、とまらなかったそうだ。最初の日私は母さんに合わせてもらえなかった。鼻と、顔面を打ったためぐちゃぐちゃとまでにはいかないけれどひどい顔だった。私は次の日合わせてもらった。薬のせいで頭がおかしくなってるようで哀れだった。その時もまた涙が出た。今度は悲しみの涙だ。見ているだけで辛かった。そして母さんは肝臓がアルコールのせいで弱ってしまった。その時先生には「今の状況から見て死ぬ可能性が高い」と言われた。いくら母さんに対して怒りの感情あったとしても母さんは私にとって世界に一人だけの母さんだ。こんなに哀れでも私の母さんだ。私はその世界に一人だけの母さんが死ぬのは本気で嫌だと思った。家族という絆があるかぎり、そう思わざるおえないんだろうと思う。それが家族なんだと思う。そしてもう一度チャンスをあげるから一からやり直してこれからやっていこう。と家族で決めた。今は幸せの涙しか出ない。あれから丸一年が経つ。私達は今とても幸せだと思う。母さんの体もだんだんよくなり、小さなことだけどあれから母さんとしゃべることが多くなった。それだけで今はしあわせだったりする。母さんがアルコール依存症になってしまったあの日から、私達家族の時間が止まっていた。これからは、失っていた時間を取り戻していきたいと思う。