今、歌を聞いている…
今まで聞いた歌で一番綺麗で透き通っていて…初心者でもすごいッて分かる。
何故そんな歌を聞いているかと言うと…今から説明しようかな。
まず、俺の紹介から。
俺は夢の島高校、略して夢高に通う『桐野恭弥』2年生だ。
そしてすごいッて歌を聞いたのは春、春休みの中頃だった。
『ダァ〜ッ!何で春休みに学校行かなきゃなんね〜んだ!』
『仕方ね〜だろ?恭弥君は最後のテストで赤点くらったんだから。』
俺をなだめるコイツはは『海藤夏』一応友達、だ。
『んな事言ったってさぁ…。ぁ〜部活してぇ〜よ。』
流し気味に夏が言う。
『じゃあ早くテスト終らせろよ。じゃ俺は部活行くぞ?』
そう言い残して走っていった…
『くっそ〜!ッ仕方ね〜、か…だな。』
呟くと少し楽になった気がしてきて、教室に向かう足取りも楽な気がした。
『来たようね。ちゃんと勉強してきたの?大丈夫かなぁ〜(笑)』
この人は『雪野聖子』国語の先生で皆から『ユッキー』と呼ばれている。
子供扱いされて少しイラつく。だから軽くからかう。
『大丈夫♪もし満点だったらユッキーとデートね♪』
ユッキーの顔が少し赤くなって焦った様に言う。
『なッ!せ、先生をからかわないのッ!!ほらっ早く荷物置いて、問題を解きなさい。』
『はぁ〜い♪』
何か、可愛いと思った…
…1時間後…
『ハイ!そこまで〜♪コラッ!!早く渡す。』
渋々答案用紙を渡す。そして少し気になることがあって尋ねた。
『ユッキー…聞きたい事があんだけど…いい?』
また焦った様に口を動かす。
『なッなな…何?デ、デートは無しだからね?』
『違うって。この歌声だよ。誰が歌ってんの?』
ため息を1つ吐いて答える。
『ふぅ…あぁそれね?それは春野さんじゃないかな?多分音楽室にいると思うよ?』
それを聞いて俺は教室を飛び出す!
『先生ありがとう!少し行ってくる!!』
『ちょっと待ちなさい!もぅ!!』
何故かあの歌声をもっと近くで聞きたいと思った。多分これは運命だったんだ♪
全力で走って音楽室前に来た。
上がった息を抑えて窓から教室を覗いてみる。
そこには、『春野さくら』…まさに『歌姫』がいた!
そして音楽室前でずっと彼女の歌を聞いていた…
歌を歌っている彼女は綺麗で…いやッ歌も綺麗で…
そのまま俺は固まっていた…
これが俺と歌姫との出会い。一方的なんだけどね…