ウラは女の子をおんぶして指差したほうへ歩き出した。
その道中でウラはあの夢の続きを思い出した。
『サポート役として付き人をつける。』
断片的だが確実に覚えてる。声の主が若干なれなれしくなり始めてるときだ。だから覚えてる。
まさか、この子供がサポート役?サポート役をサポートしているような気がするが…まぁいいか…これで何か分かるかもしれないし。
ウラは意外とポジティブ思考だ。最悪の状況も想定し的確に任務を遂行する。そういう仕事をしている人間からすれば珍しい人種だ。
洞窟を出るとすぐ暖かそうな焚き火のオレンジ色が目に入った。
「おぉ!救世主じゃ!よくやったぞロー!」
そう言ってじいさんが近寄ってきた。
どうやらローとはこの女の子の名前らしい。じいさんは特殊部隊専用の武装スーツを物珍しそうに見ている。
「じーじ、じーじ抱っこ」
ローはスルリとウラの背中から離れるとじいさんの腕へ移った。
じいさんはウラそっちのけでローをあやし始めた。
いくら救世主でもじいさんと孫の間には入り込めないようだ。
「あのーおじいさん、聞きたいことがあるんですけど…」
ウラはじいさんからいろんな話を聞いたがそのどれもが嘘のような、ファンタジー映画のような内容でとても信じられるようなものではなかった。
この世界はある程度科学は発達しているが元は魔法により発展していったらしい。
他にもいろいろ話は聞いたが簡単に言うと悪者に苦しめられている民を救世主であるウラに救ってもらう。ということらしい。
ウラが不信感丸出しの顔をしているとじいさんがぽんぽんと肩を叩いた。
「街に来てみれば分かるよ。」
ウラは納得いってなかったが言われるままにじいさんについていった。