激しい雨の中、僕は無我夢中で走っていた…。
ドク、ドク、ドク。
僕の小さな心臓が激しく脈を打つ。
ついに、あの恐ろしい家から逃げ出す事が出来た…。
もう打たれずに済む、そう思っただけで笑みがこぼれました。
あぁ、僕は大馬鹿者です。
油断していました。
目の前にある石にすら気付かず、転んでしまったのですから。
運悪く、足を変に捻りました。
脈打つ度に痛みが増します。
膝からは、じわりと血が溢れ、雨でしみた。
もっと遠くに逃げなきゃ…。
…?足が動かない…。
僕の細くて小さな足はもう、使い物にならなかった。