「いや、もういいです。もう十分です」
ウラはなぜかうんざりとしている。
この街に来てからもう何種類目だろうか。
狼顔の種族に思ってたより大きくない巨人に小人、魔法に長けたエルフ。小人やエルフは本や映画でお馴染みのって感じでメルヘンな気持ちになったがウルフ族を見たときは正直ショックだった。
「次はユニコーン族です。特徴は角ですかね。あと無駄に足速いんですよ」
次々と種族の説明をしているこのおじさんはこの街の長で名前はサンタクルス、子供からは「サンタのおじさん」と呼ばれているらしい。
なんとなくサンタのイメージに近い気はするが。
「あの…サンタクルスさん。俺は何をすればいいんですか?できればもう帰りたいんですけど…」
「すみません…実は私にも元の世界に戻る方法は分からないんですよ…」
サンタクルスは申し訳なさそうに目をふせた。だがそれを聞いてウラが納得するわけがなかった。
「はぁ!?勝手に連れてこられて戻る方法分からないって…どういう事だよ!?」
ウラはサンタクルスに食ってかかった。
「ちょ、ちょっと待ってください!この国で一番大きな街に行けば帰る方法は分かりますから…!」
ウラはサンタクルスを揺すっていた手を離した。
「本当に?」
「え、えぇ!本当ですよ。たぶん…。ですからあなたにはローをその街まで連れて行ってもらいたいんです!」
ウラは「たぶん」という言葉も気になったがそれ以上にローのことのほうが気になった。なによりその街まで連れて行く理由が分からなかった。
完全にサポート役である。