見捨てた友の目に闇が宿っていた。
ただ、ただ恐ろしくて。
俺は目を反らして顔を背けた。
「なんで」
聞こえない。俺にはナニも聞こえない。
俺には、関係ない――。
「信じてたのに……!」
少女は。
暗い目つきで俺を睨んだ。
「…………なんでっ!!」
獣のような咆哮が耳を貫く。
獣のような少女が俺の目の前でうずくまり。
獣のように凄まじい顔で、空を見上げて。
吠える。
「ああぁあぁあああァっ!!!」
俺の頭も、腕も、足も。
少女の叫び声でいっぱいになって。
ただ、つらくて、悲しくて。
だけど俺は、自分を守るのをやめるつもりはなかった――。
「あァああぁあぁぁあぁッ!!!」
やめろ。
吠えるんなら俺のいないところでしてくれ。
俺を、壊すな……!
「――――」
やがて、時はすべてを連れたまま流れていった。