サキは動かない。
「サキ?・・・・サキ!!」
不思議だった。あんまり悲しくない。前にもそんな感情が・・・。
「ふっふふ・・・・」
何故か笑いが込み上げてくる。こんな時には笑えないハズなのに。
あははははっふふっはははははっ
サキは目を覚ました。何時間眠っていたのだろう。窓には相変わらず欝陶しい紫外線防止フィルムとカーテンが被さっている。ユラが私を?
「ユラ?いる?」
臭・・・っ生臭い・・・水族館?な、訳ないか。
「サキ!」
ビクッ!後ろにはユラがいた。
・・・・・・!?
「ユラなんか家が生臭いよ?」
「え?なんもないよ。」
ユラはそういって、外に水をくみに行った。
なんてあどけない・・・。記憶喪失のせい?
「うわあああぁっ!」
外からユラの鋭い悲鳴と、動物の唸り声が聞こえた。
「!!ユラ!」
サキは剣を片手に急いで外にでた。
「あ・・・、サキ・・・。」
ユラは血を流していた。初めて出会った時のように。そして横には尻尾に大蛇の付いた、狼がいた。つまりモンスター。
「ユラ!」
もう痛い思いはさせたくなかったのに・・・!あいつ・・・、ぶっ殺してやる!!
「うわああぁっ!!」
狼はユラに牙を突き立てようとする。
瞬間、狼はばらばらになっていた。剣は血に濡れ、血がユラとサキの肌に赤いはんてんをつくった。
「サキ・・・つ、強いね・・・?」
ユラは震えている。だめだなぁ・・・また嫌われる・・・。まだユラと会って少ししか経ってないのに。私、怖いでしょユラ?