Americano

よっこ  2008-05-07投稿
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国道沿いをドライブしていたら彼女の《C》が喉が乾いたと言い出した。彼女はいつも水分不足気味。仕方なくコンビニで150円の水を買ってやった。《C》はアメリカ生まれの11歳の白人。カーステでロカのゴキゲンなナンバーを流せば黒くて長い瞼でシャッフルを刻み出す始末。俺もつられてホーンを鳴らす。イメージはさながらブライアンのチョーキングかな。
その日は河川敷へBMXの練習をしに行ったんだ。MCCOY'Sのパーカーを羽織って相棒のLOYALTY6でコンクリートロードを駆け巡る。トリックは上手くできないけど、気分はam:pmの連中さ。《C》の奴はマニュアルすら出来ない。普通にコンクリートロードを走るだけ。彼女曰く、「私ってダート向きなんだよね」、だとさ。すげぇ言い訳だろ?
毎週休日にはバンド仲間とスタジオに入ってるんだ。出かける前にシャワーを浴びて、髪をセット。もちろんグリースでバッキバキさ。この日のテーマは我が敬愛するスリム・ジム・ファントム。トサカをトッポく下ろして決まりさ。それを見ていた《C》が、「私もばっちりきめて行きたいけど、ワックスをきらしてるのよ」と言ってきた。しょうがないから外国製の艶系ワックスを貸してやったさ。
グレッチのスネア片手に待ち合わせ場所で待つこと数分、バンド仲間のユータが6120とテープエコーを抱えて、ドイツ人の彼女を連れてやってきた。大きくて丸い目が印象的なイイ女だ。
今日はロック2時間コース。俺がスネアをアタックし、ユータがコードをヒットすればその場はたちまちシャッフルパラダイス。ジーン、エディに始まり、やっぱりはずせないのがキャッツだ。rumbleなんか演(や)った日にゃ、もう気分は最高にハイさ。
あっという間に時間が過ぎ、俺達はスタジオをあとにした。帰路の途中、行きつけのアメリカン喫茶に立ち寄り、BLTサンドを食べながら、しばしロック談義。BGMにはビルヘイリーのナンバーが流れてきた。なんともいえない至福のひととき。そんな時にいつも思う、『WANT TO BE AMERICANO』
「またロックしようぜ」と言葉をかわし、店の前でユータと別れた。奴の愛車はカリフォルニアルックのVW TIPE-3。キャブサウンドが閑静な夜の闇に響き渡る。
俺の愛車、ホワイトカラーの97年式Cherokee。今年で11歳。
アメリカに憧れるバカな男達の話。

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