初めて彼の元へ会いに来た
だけどこの場所へ来るのは初めてではない
半年前憧れていたあの人と歩いた場所
ずっと憧れだった
住み慣れた街を離れ少し心細くも感じたけどあの人と短い時間を共に出来るならそれだけで幸せだった
高嶺の花のようなあの人と並んで歩ける
長い間夢見た瞬間
嬉しかった
胸が張り裂けそうだった
忘れかけた憧れが甦る
長い片思いがまた溢れ出す
今同じ物を見て思い出す
隣にいる彼の体を借りてあの人を思い出す
あの日の幸せを思い出す
胸が痛い
何だか涙が出そうになって唇を噛み締める
話かけてきた彼の声で不意に現実へ引き戻される
情けない顔で見上げる私を不思議そうに彼が見つめる
私は最低だ
だけどどうしようもない
私の前に広がる光景が
この景色一つ一つが私の目に悲しく映る
忘れていない
忘れないと
だけど今はどうしようも出来ない