カミサマ 〜光の雪?〜

BgwP←/  2008-05-08投稿
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「はい、サラサエル」

「………ありがとう。黒き姫」

 アイサはにこりと笑って林檎飴をなめ始める。
 彼はその真っ赤な飴を食べるアイサの様子を少しうかがうと、手渡された綿飴に視線を落とした。


………これは一体なんだろう?
果たして食物なのか?
それとも……………


「ん?どうしたの?サラサエル」

「……ねぇ。これはなんだい?」

 これ と言って手に持っている綿飴をアイサの前にかざす。

「えっ?綿飴よ?」

「わたあめ?」

「そう、綿飴。美味しいよ?」

「へぇ…………」

 彼は再び手にした綿飴に視線を落とした。
 そしておもむろにそれを―――\r

――――舐めた。

「……甘い」

 綿飴は舐められた場所から徐々に溶けていく。
 彼は溶けた綿飴を舐める。綿飴はどんどん溶けていった。

「サラサエル。綿飴は食べたほうがおいしいよ?」

 アイサが彼に話し掛けたので彼はそちらを向いた。

「これ、食べられるの?」

「当たり前よ。ちょっぴり頂戴」

 アイサは彼の綿飴をほんの少し摘むと自分の口に運んだ。
 彼は納得したように頷くと、綿飴をパクリと食べる。

 途端、口の中いっぱいに甘い味が広がったようで、彼はふわりと笑った。

 ふと彼は、この雪もあの雲も全部が綿飴だったらいいと考えたが、そんな事はありはしないと同時に理解した。

 少しだけ残念に思ったが、当たり前だという感情がそれを打ち消した。

「………サラサエル、口の周りペタペタしてるよ?」

「……後で拭き取るからいいよ」

 くすくすと笑いながら言うアイサと、少しむくれたように言う彼。






 仲の良い姉弟だと、その場にいた町人たちは思った。

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