アキが希美を受け止めるカタチで二人は砂浜に倒れた。
目があって離れない。
「……あ!!ごめんなさい、バランス崩しちゃって」
「希美!!動かない、動かないで。…よっ」
希美は四つん這いで砂浜に待たされた。
―まさかもう撮影!?―\r
しかし、アキは希美の髪にそっと触れた。
「ほら、カニ」
「え?頭についてました!?」
「あんまり希美が呑気だから倒れ込んだ拍子にくっついたのかもな」
希美は自分でおかしくなって笑った。
こうしていればまるで恋人同士だが、アキは被写体として希美を見ている感覚が希美自身にはあった。
日焼け止めを塗ってもらう間、希美は恥ずかしさを無視しながらアキに聞いた。
「具体的に……その…ポーズっていうんですか…そういう…感じのは…どう……すれば?」
「ごめんくすぐったい?もう塗り終わる」
「大丈夫…ですよ…っはは!く、くすぐったい!」
「バ、バカ動くな!…ポージングは後で指定するから希美は自然に笑ったりしてくれてれば良いよ」
希美がアキにも塗ってやると、いよいよ撮影が始まった。
―実は白ワンピ、持ってきちゃたんだよな〜。やっぱり着づらくなっちゃったよ。―\r
「希美、もうちょいこっち来て、うん、いい感じ。波と遊んだりして」
希美は困ったがアキの真剣な表情に負けまいと、なるべく自然体で、注文に応えた。