Mind Adventure 22

籬 規那  2008-05-10投稿
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「わ…ご、ごめんなさいっ…」

先程一目置いたばかりにも関わらず、フラフラと3歩もけば通行人にぶつかっている。


見兼ねたフィレーネに手を引かれ、相変わらずよたよたと歩く妖需と、戦いがどうも結び付かくて。



もしも、もしも俺達が、もって平和な世界に生まれていたなら。
ふと、そんな事を考えてしまった。

ジンも妖需も、底抜けに明るい振る舞いをしつつも、常に気を張り、本当弱みを見せる事はない。

絶対に。


「………」

だから、そんな必要のない生活を思い描いてしまう。

まるで、焦がれるように。








「ディル?」

気付けば、妖需が心配そうにこちらを見上げていた。


「どうしたの?ぼうっとし……っ!」


金属音が辺りに響いた。

「なんだ、お前は!」

たった今、妖需と衝突した男性は、苛立った様子でこちらを怒鳴りつけた。

「ご…ごめんなさい……」



立派な鎧で武装した兵士とぶつかり、結果尻餅をついた妖需の方こそ、結構痛かったと思うのだが。



「なんだ。その目は?」

妖需が素直に謝っているにも関わらず、ディルにまで喧嘩を売ってくる始末だ。

馬鹿だろ、この糞野郎。


「その恰好……国のお抱えの兵士様がこんな所にいるのは、理由があるからだろーが?」



火に油を注ぐ行為だというのはわかっている。


だが、こういう力で物事を捩伏せるような大人なんぞ、ディルの一番嫌いなものなのだ。



「餓鬼なんぞに構ってねーで、さっさと行ったらどうだ?器の小せぇ奴だな」

「んだと……!」

男性が抜刀しようと、腰を沈めた。ディルも呼応するように、半身になり、拳を固める。


相手は剣を構えようとしているのだ。殴るくらい、正当防衛というものだろう。

舐めた真似をしたのは向こうが先だ。



体を軽く前に倒し、頭は極力低く。

腕は突き出す直前まで、腰に引き付けて―\r


「待ってください!ぶつかった事も、ご無礼もこの通りお詫びしますから……!」

妖需が必死に訴える。



怒りが、激走する。
苛々する。


なんなんだよ、これ………!?



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