影がピクリと動いた。まさか、気づかれた?レイが手を離した。私はキョトンとする。「ホラ、ボサッとするナ。行くゾ」えぇ〜?早いよ〜?私はレイから離れないように、渋々ついて行った。…黒い大きい影の真ん前。私はヒソヒソ声でレイに聞いた。『なっ、何で真ん前になんか来るのよ〜!?』『ケッ、この方が手っ取り早い』いうやいなや、立ち上がり本を開いた。レイはティクモの後ろに回り、呪文を唱える。「スパーク+」電気の玉が現れる。「やった…?」レイが私の前に手を出す。「待て」ティクモは何事もなかったかのようにしている。「ウソッ、何で…?」レイが「チッ…」と言って続ける。「力の差があり過ぎる」私は唇を噛んだ。レイはティクモを指差した。私は目をまん丸くする。「見ろ」私は言われた通りにティクモを見る。「えっ……?」なんと、ティクモが分裂して普通の大きさに戻ったのだ。ざっと20匹はいる。そして、バラバラに移動してしまった。