ローの話を聞いたがあまり詳しい話までは聞けなかった。
とにかくローは『重要人物』らしい。
サンタクルスに言いくるめられた感じもしたがこの街より大きな街と聞いて行ってみる価値はあると思ったウラはしぶしぶとOKした。
「道案内も必要だから他にも護衛の者をつけます」
そう言ってサンタクルスは側近となにやら相談をし始めた。
(…やはり戦闘に長けたウルフ族が…)
(…しかしこの街も危ないですよ…)
そのとき初めて知ったがどうやらこの世界はどこも戦争中らしくこの街も例外ではないらしい。
話し合いが終わり側近は選ばれた護衛の者を呼びに行った。
「他の護衛の人ってどんな人ですか?ウルフ族じゃないですよね?」
期待と不安の入り混じった感じで少し緊張しながら聞いてみた。
「違いますよ。なにしろこんな状態ですからね。でも安心してください優秀な女性の護衛を選びましたから」
ウラはホッとした様子だった。いくら戦闘に長けていると言ってもウルフ族とはうまくやっていける気がしなかったからだ。
「サンタクルスさん連れてきました」
意外に早く戻ってきた側近は護衛の者と思われる人物を部屋に招き入れた。
その人物を見たウラはポカンと口を開けたまま閉じることができないでいた。
「紹介します。ユニコーン族のニコです。」
そう言って紹介されたのは顔は普通の人間とさほど変わらないが頭に一本角の生えた子供だった。
しかも1人しかいない…。
「ほら、自己紹介しなさい」
ニコはサンタクルスに促され一歩前に出て自己紹介し始めた。
「こんにちはニコです。ユニコーンのニコを取ってニコです。え…と、特技は…」
ウラはまだ口を開いたままだ。
「…ユニコーン族は足が速いです。だから私も足が速いです。だから逃げ足も速いです!」
ニコは言い切ったぞ、と言わんばかりに満足げに自己紹介を終えた。
その横でパチパチと拍手するサンタクルス…見てみぬフリをする側近…口が開いたままのウラ…
そして翌日ウラとローとニコは世界を救うべく街を出発した。