私達は「焙煎(ばいせん)」と書いた喫茶店の前に来た。そこで、一応喫茶を開いている。が、全然お客は来てくれない。
「やっぱ、本当の喫茶店の方がいいのかな。」
「うん・・・。」
もう、本当に希望なんてないのかもしれない。
―――――――――不幸になる資格なんてない。
―――――――――何かを乗り越えるために・・・・。
「・・・・・そうだ・・・・・・。」
「え?」
「香音ちゃん、呼びかけよう。」
「ここにくる様に?」
「ううん。喫茶10が無くなりそうになって私達の居場所が無くなりそうだってこと。」
香音ちゃんはビックリしていた。当たり前だ。今までそんな勇気が湧いてこなかったからだ。
私達は、「焙煎」のオーナー=関東さんの知り合い=宇野崎さん(うのざきさん)にちょっとだけ抜けさせてもらった。
そして、私達は商店街のど真ん中に行った。
「やっぱり・・・・無理だよ。」
「え?」
「私・・・・そんな人前でできないよ・・・・・。無理だよ!!」
そう言って、香音ちゃんは泣き出した。
―――――――――そりゃ、無理だよ
―――――――――無理だけど・・・・
―――――――――けど・・・・・
「香音ちゃん・・・・・・。」
香音ちゃんは私を見た。私だって、勇気ないよ。でもね・・・・・。
「進まなきゃ、変われないよ・・・・・。」