3人が街を出るとき何人か見送りに来てくれた。サンタクルスにその側近、じいさんの姿もあった。
ニコの両親らしきユニコーン族がいたが母親はともかく父親のほうはやたら強そうだった。
どうせなら父親のほうを護衛に回してくれよ…と言いたいところだがあのサンタのおっさんが聞く耳を持つはずがない。
ウラは今だに特技逃げ足のニコのことを信用していなかった。敵に会った瞬間真っ先に逃げるのではないかという心配があった。
格好だけはやる気満々だ。ユニコーン族特有の防具なのか青色の鎧で足を重点的に守っている。
「ロー!私がおんぶしてあげる!」
そう言ってニコはまるで今から遠足にでも行くかのようにはしゃいでいた。
ローもニコにおぶられキャッキャと騒いでいる。
街までは歩いて2、3日程度らしいがこの楽しそうな2人を見ていると先が思いやられる…。
サンタクルスやじいさん、ニコの両親は静かに3人を見つめていた。
「…あの3人に未来を託すか…大丈夫かのぉ。なぁサンタクルス」
孫と別れたじいさんのテンションの下がりようは尋常じゃなかった。
「大丈夫ですよ。ウラさんは救世主ですから」
しんみりとしているサンタクルスの横で何やら忙しそうにしていた側近がサンタクルスに耳打ちした。
「街の南方約80キロまで敵が進軍してきました…」
それを聞いたサンタクルスは一つ深呼吸をすると南の方を見つめた。
「厳しい戦いになると思いますが…命がけで守りましょう。…この世界と子供達を…」
ウラ達3人はそんな大人達の決意も知らず北を目指した。