ある朝、ポストの中に水色の手紙が入っていた。
(中林 遥奈様)
名前の他は、何も無い。住所も書かれてなければ、切手も貼っていない。
裏を見ようとした瞬間
「ゆか、早く学校へ行きなさい。何時だと思ってるの!」
母親の声から逃げるように、学校へと走る。
無意識のうちに、カバンに手紙を入れてるのにも、気付かないまま…
「ふぅ、ギリギリセーフかな?」
いつもだったら、門の前には、生活指導のユニクロがいるはずだ。
「おっかしぃなぁ。遅刻してんのに」
遅刻が見逃されて、ラッキーなはずなのに…
何か、納得出来ない気持ちで、教室へと急ぐ。
ゆかの教室、1年2組のほうから、ザワザワとした声が響いている。
ゆかのクラスは、生活指導のユニクロが担任だ。
朝のホームルームでは、学年のどのクラスよりも、静かなはずだ。
ガラッと音をたてながら、教室へと入る。
一瞬の静寂の後、
「ユニクロ、入院したんだって」
仲の良い美紀が教えてくれた。大きな声でも無いのに、不自然に響いて聞こえた。
まさか…
ゆかは、昨日の夜の夢を思い出す。
夢の中で、担任がバイクで転ぶのを見てたのだ。