「あの先輩の写真、室内のは無かった気がしたんですけど」
「うん、全部外だよ」
「撮りましょ!」
「旅館の浴衣じゃマズイよ。」
「え?」
「泊まりだったのバレちまう」
ヘンなところだけしっかりしているなと半ばあきれて希美は隣の部屋で自前のワンピースに着替えた。
「ダメですか?」
「カワイイ」
「本当に思ってます?」
アキは微笑しておもむろに一枚撮った。
「!え、今の?」
「たまには怒った表情も撮っていいだろ」
もっと全体的に撮って欲しかったのだがと、希美は不満だったがそれから何回かアキからの注文を受け、全体的な撮影をした。
「はぁ、雨止みませんね」
「今日は晴れないだろ」
「やっぱりもっと撮影したいですよね」
「うん…」
「……じゃあ、良いですよ。混浴」
「いや出品出来ない…」
「アキの撮りたいものを撮りましょうよ」
さすがのアキもきょとんとした。
―俺の撮りたいもの…―