空が夕焼けから闇に変わり、病室が暗くなっても、龍一は電気もつけずに、ただベッドの上で上半身を起こして硬直していた。
時計は八時を差している。「・・・許さない・・・」龍一はポツリとつぶやいた。
「あいつらを・・・!あの化け物を・・・!絶対に・・・許さない・・!!」
悲しみの次に沸き上がったのは、強い『憎しみ』だった。
「根絶やしにしてやる!!必ず!!」
龍一は叫んだ。顔を歪め、唇を噛み締め、泣きながらふとんごと拳を握り締めた。
しかし、龍一に化け物を倒すすべはなかった。
止まった時の中で動けると言っても、化け物に遭遇できるかどうかわからない。もし遭遇できたとしても昨日のように、大したこともできずに殺されるのは目に見えている。それでは、意味がない。
(くそっ・・・なんで俺は弱いんだ・・・!)
また自分の弱さを呪ったとき、龍一はある言葉を思い出した。
【問題ない、すぐに強くなれる。】
それは電話で咲坂が言った言葉だった。
(強くなれる・・・バスターになれば・・・)
確かに咲坂はそう言っていた。
(なってやる・・!強くなれるなら・・・バスターにだって!!)
決意を固めた龍一の目から、涙が消えた。