遺書−私と彼女という現象−最終話−

あきは  2008-05-13投稿
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「『A』…私に…どうしてほしいの…?」

記憶の彼方で私は再度問い返す。『A』は無言で微笑んで私を見つめている。

「『A』!私にどうしてほしいの!?」

私は叫ぶ。『A』は穏やかに私を見つめながら囁いた。
「もう、私の邪魔をしないで。」
「?……………どういうこと?」
「言葉通りよ。私の邪魔をしないで。」

その瞬間、霧が晴れるように私は私の姿を見た。
そこには鏡中の私が私を見つめ話していた。

「あなただけ生きたがっているから3度も失敗した。もう、邪魔をしないで。」
『A』という私は鏡の私に向かって囁き、私は私の輪郭がぼやけていくのを感じていた。




「今度こそ失敗しないわ、私は私の願いを叶えてみせる。」
静かになった鏡の前で『A』は、独りきりの部屋に満足そうに微笑んだ。

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