亜梨沙はたまに独り言を言う時がある。
「でねでね、その子泣きながら謝るんだよ。」
(珍しい、お客かな?)
僕は亜梨沙に近づこうとした。
「・・・許さない。」
え?
不安になって立ち止まった。
その時、亜梨沙は何かに取り憑かれたかのように、喋り続けていた。まるで見えないナニカに話し掛けているかの様に。
「死ねばいいのに、みんな・・・。ね?お母さんもお父さんもね!首斬って中身掻き出してやる・・・」
(やめて!!)
思わず叫んだ。その瞬間、亜梨沙はもっどうりになっていた。
「ミイ?」
恐ろしい。どうして?何が見えるの?僕は化け猫。怖いモノなんてないはずなのに・・・その時だけすごく怖かった。
「あ、そうだ。ミイ、今日お出かけしよう遠くに。」
(お出かけ?)
また殺人を行うの?
「二人で逃げちゃおうか。」
?逃げるの?
外ではパトカーのサイレンが響いている。
なるほど。逃亡?
「こんなんばっかでごめん。ミイ、私嫌いでしょ。こんな・・・」
鳴咽を漏らしながら僕を抱きしめる。
(僕、なんで人間と話せないんだろ。)
悲しかった。
僕たちは荷物をまとめ、家を出た。