猫〜ミイ視点Eight〜

黄粉  2008-05-13投稿
閲覧数[363] 良い投票[0] 悪い投票[0]

亜梨沙はたまに独り言を言う時がある。



「でねでね、その子泣きながら謝るんだよ。」

(珍しい、お客かな?)

僕は亜梨沙に近づこうとした。

「・・・許さない。」

え?

不安になって立ち止まった。

その時、亜梨沙は何かに取り憑かれたかのように、喋り続けていた。まるで見えないナニカに話し掛けているかの様に。

「死ねばいいのに、みんな・・・。ね?お母さんもお父さんもね!首斬って中身掻き出してやる・・・」

(やめて!!)

思わず叫んだ。その瞬間、亜梨沙はもっどうりになっていた。

「ミイ?」

恐ろしい。どうして?何が見えるの?僕は化け猫。怖いモノなんてないはずなのに・・・その時だけすごく怖かった。

「あ、そうだ。ミイ、今日お出かけしよう遠くに。」

(お出かけ?)

また殺人を行うの?

「二人で逃げちゃおうか。」

?逃げるの?

外ではパトカーのサイレンが響いている。

なるほど。逃亡?

「こんなんばっかでごめん。ミイ、私嫌いでしょ。こんな・・・」

鳴咽を漏らしながら僕を抱きしめる。

(僕、なんで人間と話せないんだろ。)

悲しかった。

僕たちは荷物をまとめ、家を出た。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 黄粉 」さんの小説

もっと見る

ホラーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ