彼はエイリアン・3

東山桃子  2008-05-14投稿
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あの喧嘩らしい喧嘩をしてからと言うもの 私は心から笑えない日が続いた。
夫も そんな空気を察したのか、一週間ほどしたある日
「綾乃、ストレス発散にボウリングにでもいってみないか?」と 唐突に誘った。
(えっ? 今どきボウリング?)と 内心思ったものの、そういえば子供の頃には 面白がって 遊んだこともあったなぁと思いだした。
「そうだね。ストライクでも出して スキッとしようか!」と 二人はボウリング場に向かった。
平日の昼間だったので 人影はまばらだった。
何年ぶりだったので、なかなかうまくいかない。
ストライクは偶然に出ることはあった。ところが スペアを取ろうすると ピンの目の前で 右へ左へと微妙に外れ それが悔しくてたまらない。
こんなはずでは・・と どんどんボウリングにのめり込んでいった。
そうして夫婦で 何度となくボウリング場に出入りするうちに、ボウリング場の従業員と顔見知りとなった。
ある日、「今晩8時から大会があるから出てみませんか?練習と違って 緊張感もあって かえってスコアが上がるかもしれませんよ。」と誘われた。
私は大会なんて とんでもないと思った。
でも 夫は自信があるからしく 乗り気だった。
「話のタネに 出てみないか?」と 夫が言うので しぶしぶ出場する事にした。
夜の8時が近づくと、想像以上に人が集まりだした。
大学生、サラリーマン、自営業者風、年齢も様々で 男女とりまぜ40人はいただろうか。
彼らは一応に マイボール、マイシューズ、手にはサイボーグのような器具をつけ(どうやら ボウリングにおける三種の神器らしい)それぞれ準備に余念がなかった。
その中に 30才くらいに見え 日焼けした肌にメガネをかけ、口ひげをはやした 中肉より少し細身のカラダに 皮ジャンを着た ちょっと悪そうに見える男がいた。
その男は 大会の前に、カウンターに足を投げ出して コンビニ弁当をかきこむように食べた。
そして仲間らしい男女と、「アーハッ」と 大げさに笑っていた。(まるで エディ・マーフイの笑いみたい)
私自身 場違いなところに来てしまったと 少し後悔していたが、この男も スポーツの場にふさわしくないような かなり違和感を感じた。
いよいよ、大会の時間が迫ってきた・・・

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