「告白された瞬間の女性か」
「歴史的瞬間ですけどね」
「希美、大好きだ」
「今さらまた言ったって同じ顔は出来ませんよ」
「しかし…スッピンもかわいいのに」
二人は数ヶ月後、初日に海で撮った写真がコンクール審査員にとても気に入られ、特別賞を受賞していた。
その受賞式と審査員への写真説明も兼ねて今日は会場に来ていた。
被写体が誰なのか。
審査員の注目になっていたらしい。
ちょうど程良く夕方になっていたのと、希美の表情、アングルが良かったらしい。
それらの説明や受賞を終えて、二人は家路についていた。
「でも受賞した写真は偶然撮れたんでしょう?」
「希美が居なけりゃ絶対撮れなかった」
ドレス姿に薄く化粧をした希美は被写体の希美よりさらに別人に見えた。
「誰にでも出来ることが必ず一つはあるって言うけど」
希美にキスをして、アキは続けた。
「俺は多分、君がいないと写真は上手く撮れないみたいだ」
「おめでとう、アキ」
二人はまた、長いキスをした。
アキは心の中で言った。
―ありがとう。希美。