カミサマ 〜光の雪?〜

BgwP←/  2008-05-16投稿
閲覧数[323] 良い投票[0] 悪い投票[0]


 慎―――と、静寂に包まれた教会。


 凛―――と、いつもの場所に立つ彼。


 彼の後ろ。一番前の長椅子には、小さな寝息をたてるアイサがいた。
 不安や恐怖の色はもう無く、寒さを少しでも無くすためか、身じろぎしてはぼろの毛布をたぐり寄せている。


 そこで、彼は謳った。

 あの日と、同じ歌を。


―――神は貴方を愛すだろう。

神は私を嫌うだろう。

神は貴方を愛し、愛しきあまりに殺すだろう。

神は私を嫌い、嫌いなあまりに生かすだろう。

この世で死ほど愛される事はなく、生ほど嫌われる事などない―――\r


 透き通るような、澄み渡るような、綺麗な声で。

 あの朝と、同じ歌を。


―――神よ。

貴方を祈ろう。

貴方の為に、私の為に。

神よ。

貴方を讃えよう。

貴方の為に、あの子の為に。

神よ。

貴方を信じよう。

貴方の為に、世界の為に―――\r


 そこまで謳うと、彼の歌声は余韻を残して白の世界へ溶けていった。




 そして、彼は笑った。




 心からの笑みを。

 おひさまのようなやわらかさで。






―――――カミサマ。

愛してくれてありがとう――――












 その刹那。

 ブツリという音が

 静寂を破壊した。




投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 BgwP←/ 」さんの小説

もっと見る

ファンタジーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ