見えぬ壁4

リンリン  2008-05-17投稿
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月日は流れ、付き合い初めて半年がたった。今はあまり辞書を使わなくなってきた。

俺は中国語を勉強し、相変わらず発音が悪いらしい。

彼女は、日本人と変わらないほどペラペラ日本語を喋るようになった。

しかし、なぜ、たまに関西弁が混ざるのか不思議でやまない。

彼女と幸せに過ごす時間は長くはなかった。

とある問題により、中国での反日デモが激しくなったのだ。

彼女は、周囲から白い目でみられ、嫌がらせも受ける様になってきた。

ある日、彼女に話しがあると言われ、待ち合わせ場所へ。

義孝「よ!どうした?」

ミン「……………」

黙り込む彼女、告白された時とは少し違う空気がながれる。

細くもろいが何か重い。
義孝「今日はさ〜仕事でさ〜ヘマしちゃって」

ミン「………………」

義孝「どうしたん?何かあったん?」

ミン「……………」

義孝「なぁ?だまっとったらわからんよ」

ミン「…………」

彼女は、何も言わず、ただ下を向くだけ。

ミン「……ごめんなさい」

義孝「何が?」

彼女の目から、大粒の涙が溢れる。

ミン「私、中国に帰る」

義孝「………え?」

ミン「中国に帰る」

義孝「え?いつ?」

ミン「明日」

義孝「は?何故今言う?もっと早く言えたろ?」

ミン「………言えなかった」

義孝「…………」

頭が真っ白になった。まだ沢山行きたい所あるのに。 どうすればいい?何をするべき?

色々な考えが頭を駆け巡る。

義孝「俺の事、好きか?」

ミン「はい」

義孝「日本は好きか?」
ミン「日本はわからない、でもヨシは好き」

俺は何を聞いてる?無意識に自分で言っている言葉に困惑する。何が聞きたい?

義孝「なんで帰るの?」

ミン「デモがあたでしょ?回りから、私嫌われた。お父さん見てられないだから帰る」

ミン「ヨシは、私の聞いていた日本人じゃない。優しくて、大切にしてくれた。だから言えなかった、ヨシが哀しむと思うと言えなかった。」

ミン「だから、今言います。ごめんなさい。今までありがとう。さようなら」

俺は何も言えなかった、何も考えれなかった。

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