月日は流れ、付き合い初めて半年がたった。今はあまり辞書を使わなくなってきた。
俺は中国語を勉強し、相変わらず発音が悪いらしい。
彼女は、日本人と変わらないほどペラペラ日本語を喋るようになった。
しかし、なぜ、たまに関西弁が混ざるのか不思議でやまない。
彼女と幸せに過ごす時間は長くはなかった。
とある問題により、中国での反日デモが激しくなったのだ。
彼女は、周囲から白い目でみられ、嫌がらせも受ける様になってきた。
ある日、彼女に話しがあると言われ、待ち合わせ場所へ。
義孝「よ!どうした?」
ミン「……………」
黙り込む彼女、告白された時とは少し違う空気がながれる。
細くもろいが何か重い。
義孝「今日はさ〜仕事でさ〜ヘマしちゃって」
ミン「………………」
義孝「どうしたん?何かあったん?」
ミン「……………」
義孝「なぁ?だまっとったらわからんよ」
ミン「…………」
彼女は、何も言わず、ただ下を向くだけ。
ミン「……ごめんなさい」
義孝「何が?」
彼女の目から、大粒の涙が溢れる。
ミン「私、中国に帰る」
義孝「………え?」
ミン「中国に帰る」
義孝「え?いつ?」
ミン「明日」
義孝「は?何故今言う?もっと早く言えたろ?」
ミン「………言えなかった」
義孝「…………」
頭が真っ白になった。まだ沢山行きたい所あるのに。 どうすればいい?何をするべき?
色々な考えが頭を駆け巡る。
義孝「俺の事、好きか?」
ミン「はい」
義孝「日本は好きか?」
ミン「日本はわからない、でもヨシは好き」
俺は何を聞いてる?無意識に自分で言っている言葉に困惑する。何が聞きたい?
義孝「なんで帰るの?」
ミン「デモがあたでしょ?回りから、私嫌われた。お父さん見てられないだから帰る」
ミン「ヨシは、私の聞いていた日本人じゃない。優しくて、大切にしてくれた。だから言えなかった、ヨシが哀しむと思うと言えなかった。」
ミン「だから、今言います。ごめんなさい。今までありがとう。さようなら」
俺は何も言えなかった、何も考えれなかった。