星の蒼さは 59

金太郎  2008-05-17投稿
閲覧数[449] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「クク…合衆国海軍に嗅ぎつけられては厄介。素早く沈黙せしめ、奪取する。…クク…行け」

三隻のハイドン級巡洋艦がそれぞれ一本ずつ魚雷を放つ。沈めてしまうのは簡単だが、それでは頼まれていた兵器の奪還が不可能になり、何より敵が全員死んでしまう。おまけにその兵器というのは……

「殺すのは可愛がってからだ…クク」

傍らの士官が獣を見るような目で見ている。何を考えているのかわかったのだろう。
それでいい。私の趣味など常人には理解できない至高にあるのだ。

「WW隊!“ゼロ”5機。全魚雷迎撃されました!」
「内2機が〈トリガー〉と交戦中。残り3機が海中に潜った模様」

「クク…潜水艦の危険性を熟知しているな」

ド素人という訳ではないらしい。海戦に於いて海の下を野放しにする事は死を意味する。

「だが、誇り高き月軍には水陸両用WWがある事を忘れてもらっては困る」

今頃海中で“水陸両用WW”レインに遭遇しているであろう獲物の絶望を想像し、エンリコ・ラグンは一人悶えていた。

「幽霊艦隊は何者も逃さない。ステルスに加え、霧に紛れた我らは実体無き幻影、嘘、そして亡霊(ファントム)…クヒヒ……踊れ……」



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 金太郎 」さんの小説

もっと見る

SFの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ