一週間 最終章 クチズサミ 3

伊守弐ノラ  2008-05-17投稿
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春樹は顔を曇らせながらも話を続けた。

「お義母さんは、ポリトフスキーをポリトと呼んで慕っていた。そしてポリトも我が子のように可愛がった…そんなポリトを父親はえらく気に入って、語学や学術に長けていたこともあって、お義母さんの家庭教師として家に住まわしたんだ」

「しかし、この時代は外国人…特に得体の知れない外国人を匿ったりしたら、村の人たちが黙ってなかったんじゃ…」

「お義母さんの父親は、村のほぼ全ての田畑を所有する大地主だったからね…意見できる者はいなかったろう」

祐輔はなるほどと思った。改築する前の、悠子と遊んだその家は、古かったけれど確かにお屋敷だった。

「それに、村人たちとも打ち解けていったみたいだよ…特に娘さんたちは、その美貌に夢中になったらしい」

「無理もないですね…」

「そうなんだが…」

春樹の顔が更に曇った。

「ポリトにいちばん夢中になったのは…お祖母さん、つまりお義母さんの母親だったんだ…」

「え?…まさか」

「あぁ…ポリトもそんな母親の気持ちを受け入れ惹かれていった…」

「でも…それってヤバいんじゃ?」

「そうなんだよ…やがて二人は密会を重ねるようになるんだが…そんなのが続くわけがない。父親の知る所となってね…」

「まさか…ポリトは殺された?」

春樹は首を横に振った。

「父親は確かに、恩を仇で返されたと逆上したが、流石に殺すことはできなかったんだ…それで仕方無く、洞窟の入口に木製の檻を造らせてポリトを幽閉してしまった…」

「そんな洞窟がこの村に在ったんですね…」

祐輔の言葉に、春樹は語るを止めて、祐輔の顔をじっと見つめた。

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