「洋灯くんは、僕の事好き?嫌い?」
「その問いは、ぼくが応えないという事前提で聞いてきてるんだよね?」
「質問に質問で返さないの」
そう頬を膨らませながら、色羽は言った。彼女の事だ。こんな質問は聞くだけ無駄と思っている筈だ。
いくら魂が腐ってしまったとしても、彼女はまだ全てを知っている。
今此処で突然人が産まれようが人が死のうがどうしようが、彼女には全てわかっていたこと。
「むぅ…。唯の興味ほんいなのに」
見えない未来は無い。
存在しない未来は無い。
全ては彼女の目のままに。
だからぼくも彼女に真実を突き放す。
彼女が全てを知り尽くしているように、ぼくも過去という過去を知りすぎている。
「ぼくは、雪嵐 色羽の事が 大嫌いだ」
「それは光栄だよ」
おっと、此処で勘違いをしないで欲しい。色羽は超能力者でも、占い師でもない。
彼女は想像と創造を想像し創造してそのそうぞうを構築する能力を持っている、唯の人間だという事を。