彼はエイリアン7話

東山桃子  2008-05-17投稿
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2月26日
チャンスは突然やってきた。
10日後、夫は3日間の東京出張だと言う。
心の中で 悪魔が囁いた。
「今しかない!」
偶然、その日は ボウリング大会の日。
私の決断は早かった。
3月1日の練習会の後、私は竜二を呼び止めた。
「ねえ竜二! お願いがあるんだけど。」
『イヤだ!』
「もう 何よそれ。まじめにお願いしてるのに・・・」
『何だよ。』
「来週の大会 出るでしょう。うちの直さん出張で 来られないんだ。悪いけど 家まで迎えに来てくれない?」
『ええ〜? オタクん家 遠いからなあ。時間的にムリかもな〜。』
「そっかぁ〜。竜二の家からだと遠いもんね。ダメだよね‥」
『うーん… …
わかった。何とかするよ、まっかせなさい!』
「ほんと!ありがとう。じゃあ来週ね!」
『おうっ。セバナっ!』
(函館弁解説。セバナとは それじゃあね の意味。)
これまでも まさみちゃんやアツシ君に迎えに来てもらっていたので、その事を気にする人は 誰もいなかった。
時々 なぜ竜二なのかなと 考える事がある。
神崎竜二。27才。
トラックの運転手。
21才の頃から 同棲している彼女がいる事。
お調子者のくせに、どこか純粋で。
年下のくせに、ほんとは37才じゃないの?と思うような おじさんギャグを言う。
悔しいけれど 可愛げのある男。
投げ出した足も
大げさな笑いも
ほんとは優しい瞳も
今となっては すべてが愛おしい。
心の中から、竜二があふれ出しそう。
私はひたすら 3月8日を待った・・・



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