数度目の衝撃に突き上げられ、オペレーターの美樹は宙を舞って床に落ちた。
「あ痛ッたた……んもうっ!アキはどこに行ったのよぉ」
艦長にアキを連れてくるよう命令され、急いで行った自室はカラだった。
「美樹ちゃんかい!?」
「おばちゃん!」
廊下を食堂のおばちゃんが駆けてくる。
「アキは!?」
「あたしも捜してるんだ。アキちゃんったら、いきなり『何か来る』とか言ってどっか行っちゃったんだよ。洗い物の手伝いしてくれてたんだけどねェ……その後すぐ攻撃が…心配だよ」
艦長はきっとこの虚に乗じてアキが脱走すると踏んでアキの身柄を確保しておこうというのだ。だとすれば
「アキ……今いなくなったら疑われちゃう」
そこへまた船底から衝撃。魚雷が直撃したらしい。
(C‐2区画が浸水。火災発生。速やかに消火……)
別のオペレーターが被害を伝える。
やはり男じゃ務まらない。オペレーターには華がなくては。自分の美声でないと士気に関わる。
「おばちゃんは避難区画に避難して!」
「でもね…」
「そこに逃げてるかも」
「気を付けな」
「うん!」
美樹は格納庫に向け走りだした。
外は相も変わらぬ濃霧。