背中に伝わる憎悪は、激しい恐怖感を与える。
エリナは鬼人と化しているユータを見つめた。
ユータが剣を振りかぶる。ヒュッ。振り下ろされた剣から、凝縮された風の刃が飛んでくる。
ザシュ……エリナの右肩が激しく痛む。
ザシュっ…ザシュっ…エリナは耐え切れず、膝をついた。ユータが歩いてくる。
一歩、一歩。しかし、エリナは反撃しなかった。
赤々としたユータの双眸からは、途絶えず涙が流れていたからだ。
ユータがエリナの前に立つ。ゆっくり剣を振りかぶり、頭に狙いを定める。
「ユータ…」エリナが名を呼んだ。ユータの剣がぴくりと揺れるが…既に遅かった。
ゆっくりと剣が降りてくる。私…死ぬの…？ゆっくり?流れるような瞬間（とき）の中でエリナは叫んだ。ごめんね…ミホシ…。
ガシィーン…。金属と金属が擦れ合う音。
つむっていた目を開く…
「ちょっとぉ??アタシの親友に何すんの?」聞き覚えのある声。
赤い眼鏡の長剣と弓使い。エリナの親友。「ミホシ??」
「お待たせ?そんな傷だらけで…待ってて?今、この新参者を懲らしめるから?」ユータの剣を払いのけると、「レディーに手をあげた代金は高いぞ?オリャーー????」
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