カミサマ 〜暗闇〜

BgwP←/  2008-05-18投稿
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 地面が揺れて、

 アイサは飛び起きた。

 そして、見た。




 地に落ちたロザリオを




 そこに撒き散る血を




 そして思い起こす。

 その場は誰の場であったかを。

 その吊り下げられたロザリオの下にはいつも誰がいたかを。


「……………サラサエル?」


 返事は、無い。


「いや……そんな…………」


 震える足で立ち上がり、一歩二歩と進んでいく。


 寒さなどではない。


 足の――身体の震えも

 カチカチと音を立てる歯も

 この汗も

 背筋が凍るようなのも


 冬の寒さのせいなどではない。

「サラ……サ、エル…………?」


 呼吸すら、聞こえない。


「サラサエル?……ねぇ、返事をしてよ。サラサエル―――」


 アイサがいくら呼び掛けようと


「サラサエル――サラサエルってば」


 静寂が、広がるだけ。


「そんな……ねぇそんな…………違うよね!?――サラサエルが……サラサエルが死……………死んじゃうなんて―――」


 誰も、答える者などいない。


「そんな…やだ……やだよう」


 涙が、嗚咽が止まらない。


「サラサエル……サラサエル。ねぇ私、貴方の名前、聞いてないよ」


足がくだけて座り込む。


「貴方のこと……知らないよ。名前すら、判らないよ………」


か細い、呟きを。


「ここでの暮らし方も、世界の事も、教えてくれたじゃない…」


泣きながら。必死で紡ぎながら。


「ずっと一緒だって、傍にいるって、言ったのに―――」









―――独りにしないでよぉ


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