「う…ん、何よ、うるさいわねぇ」
ロイ達と違いベットに寝ていたリリーは、不機嫌そうに目を擦りながら起き上がった。
「おお、気付かれたか!」陰気な顔を高揚させて、老人は嬉しそうにリリーの元へと近づいていった。
「ささ、お腹が空いておるじゃろうて、飯の用意が出来ております。こちらへおいで下さい」
「…」
リリーは目の前にいる老人を寝ぼけ眼で見つめていたが、やがて、大きく目を見開いて、
「ろ、ロバート!」
と、叫んだ。
「おお、覚えて下さっておりましたか、リリー様!元ワイズマン家執事、ロバートでございます」
ロバートと名乗った老人は、恭しく頭を下げた。
「…何してるのよ、まさか、私を連れ戻しに来たんじゃないでしょうね!?」
リリーは拳をベットに叩きつけて、ロバートを睨んだ。
「それは違います、リリー様。私は貴方様が家を出てからほどなくして、ワイズマン家を追い出され、今はこの森でひっそりと暮らしているのです。偶然にも貴方様やお友達が森で倒れているのを見つけて、この家で介抱をしていたのでございます」
ロバートは首を横に振って、悲しそうな表情でこれまでの経緯を説明した。
「そっか…ごめんなさい、ロバート…疑ってしまって」