『どう?!未來。あたしに幻滅した?!』
少し上がり気味の目尻と、綺麗にカールされた長い睫。
彼女は、動物に例えて言うなら猫だ。
『まるで幻滅して欲しいかの様な言い方だね。』
今日の僕は、何時もの僕ではない様な気がした。
何時もの僕なら、こんな嫌みを込めた言い方はしないから。
『未來みたいなタイプには、今のあたしの話を聞かせたら、幻滅されるかなって思って。』
そう言った彼女の言葉に、
彼女らしくない弱気な一面を見た―\r
『実は僕ね、エリカちゃんが初恋の相手だったんだよ。』
彼女は一瞬、驚いた顔をして、
僕の顔をじっと見つめた。
『未來‥‥も?!』
彼女の言葉に、僕も驚いた。
何と、エリカちゃんの初恋相手は、この僕だと言うのだ。
『いや‥‥これは驚いたな。まさかエリカちゃんの初恋相手が、この僕だなんて‥‥。』
僕は動揺して、震える手を隠す為、
持ちかけた烏龍茶の入ったグラスをテーブルの上に置いた。
『本当よ。未來は、あたしの初恋相手だった。』
彼女が優しく笑う。
その笑顔は、あの時のまま――
―――“先生ぇ〜!!未來君がオシッコ漏らしましたぁ〜!!”―――\r
そう叫んだ、あのコは隣の席だったエリカちゃん――
“未來君、泣かないで――”
“うっ‥うっ‥ふぇっ‥えっ‥‥ぐしゅっっ‥‥うん――”
“あたし、一緒に保健室付いてってあげるから――”
“うっ‥うっ‥ヒック‥‥う‥‥ん――”
小学校一年生の時から―\r
気の強い女の子だったエリカちゃん―\r
でもそれ以上に、心の優しい女の子だった――
その日から僕は―\r
君に恋をしてしまったんだ――