嫌な事は後回しにしてた。
「明日やればいい」
それが私の口癖。
まだまだ人生は長いからいつでもやれる。
何て呑気に過ごしてた。
けど…
人生、いつ終ってしまうか分らないもの。
私だって、例外じゃない。
自転車で通勤中だった。
左折してきたトラックに巻込まれて、私の人生は呆気なく終った。
気が付くと、真っ白な服を来て頭にわっかを乗せた、絵に描いた様な天使?が一人。
「ここは……何処?」
「天国。」
「はぁ?まさかぁ〜笑」
天使は頭を横に振って、下を指差す。
指差された方を見ると、真っ白な地面にポッカリと直径10cm程の穴が開いている。
私は恐る恐る、穴を覗く。
穴は想像以上に深く、遥か彼方に何かが見えるのだが、肉眼では見えない。
「あのぉ〜、遠過ぎて何も見えないんですけど…。」
「貴方視力はいくつ?」
「えっ?0.7」
天使は服のポケットから携帯を取り出し、何処かに電話し始めた。
「え?そう。うん…。0.7。至急お願いね。」
私は思った。
天使も携帯使うんだ…って。
暫くして、赤い鬼みたいなのが銀縁眼鏡を持って来た。
「何やってんのよ!!遅いじゃない!!!!」
「スンマセン…。他の所で0.7使ってたもんで。」
鬼みたいな奴は眼鏡を渡すと、ガックシ肩を落して帰って行った。
「さぁ、これかけて覗いて。」
私は天使から眼鏡を受け取り、天使に言った。
「何か、さっきの人凄い落ち込んでましたね〜笑」
「いいから、早く覗きなさいよ!!今日はまだ後20も回さなきゃいけないんだから。私、忙しいのよ!!!」
「えっ?俺の他にもいるんですか???」
「そうよ。今日は忙しいの。肩凝っちゃって…っていいから、早くして!!!」
私は言われた通り、眼鏡をかけ穴を覗いた。
!!!!!!!!!!
「俺だ!!!俺が寝てる!!!」
ベットの上で身動きしない私。その周りで親父やお袋や姉貴が泣いている。
「あんたも鈍いわね。寝てんじゃないのよ。死んだのよ。」
天使がイライラしながら言った。
「俺、本気で死んだの?」
「だから、そうだって!!!」
また天使が苛ついた。