リリーはそう言って、すまなそうに頭を下げた。
「いえ、いいのです。こうして元気な姿を見れただけ、私は幸せでございますから」
ロバートはにこりと微笑んで、そっと頭に手を置くと、リリーの髪を優しく撫でさすった。
リリーは照れくさそうに笑いながら、
「ちょっと、やめてよ」
と、言ったが、その手をどけようとはしなかった。
「…なあ、俺ら、完全に忘れられてないか?」
「ああ…というか、リリーは一体何者なんだ?」
「俺も詳しい事は知らないんだよ」
ルイスは首を傾げて、肩をすくめた。
「ただ、分かってる事は、あいつは俺が道場に入る前から、先生達の世話になってたって事なんだけどな」「そうなのか?」
「ああ。まあ、俺と違って、あいつ自身は町のレストランで住み込みで働きながら、道場に通ってたんだがな」
「そうだったのか…」
ロイはリリーを見つめながら、
まだまだ二人に関して知らない事が多いなあ…―\r
と、心の中でため息をついた。
その気持を察してか、ルイスはロイの肩を叩いて、
「まだ会ったばっかりだ、知らなくて当然だよ」
と、笑いながら、言った。「お主達!」
ロバートから突然声を掛けられ、二人は驚いて振り向いた。