｢被害者の身元は？｣
竹松寛警部が現場に到着して最初に発した言葉がそれだった。
｢喜多博。IT企業の土田宮ﾈｯﾄの営業課長です｣
竹松警部の問いに部下の広瀬刑事が答えた。
｢俺と同じ名前かよ…。それでなんでｶﾞｲｼｬがﾗｲﾊﾞﾙ企業の白根ﾈｯﾄの応接室なんかにいるんだ？｣
｢それはまだ分かりませんね｣｢恐らく我が社の秘密情報を白根ﾈｯﾄに売っていたからじゃないのでしょうかねぇ｣
｢そうか…ん!?あんた誰だよ!?｣
竹松警部は、髪をｵｰﾙﾊﾞｯｸにしてジャージを着た40ぐらいの風変わりな男が部屋に入っているのに気付いた。そして慌てて何者なのか尋ねた。
竹松警部の問いにその男は答えた。
｢土田宮ﾈｯﾄ代表取締役社長、土田宮左京です。殺された喜多君の身元確認に参りました｣
｢ほぅ〜あなたが土田宮ﾈｯﾄの社長さんですか。被害者があなたの会社の秘密情報を売っていたってどういうことです？｣
｢そのことについては後で話します。ところで喜多君の遺体どこですか？まずそちらを先にお願いします｣
そうこの男こそがこの物語の主人公であるある変わり者である。
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