王様の創り方

きぇんすぅい〜  2008-05-21投稿
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 半ば泣きながら背の高さ程に成長した草々をかき分け、必死に走る女性。
 刃物で切り裂かれた痕跡のある血に染まった着物姿ときらびやかな童顔であろう、崩れた泣き顔が状況を示していた。
 
 すぐ後ろからは男の狂気に満ちた笑い声に、刃物が草を切り裂く音。
 夜の真っ只中。
 周りに家屋などは一切無く、あるのは右側にある川に忌まわしい草だけ。
 
 伸びたさらさらの黒髪からちらつく綺麗な色白に映える真っ赤な血は、額から頬を伝って流れていた。
「殺してやる!!」
 弱々しい声と共に振り向くと共に、胸元に忍ばせていた七寸程の刃物を鞘から抜くとその勢いのままに男に斬り掛かる。
 
 だが、日々の鍛錬によって研がれた野獣の勘にこの程度の不意打ちが聞くはずも無く、女子の力で振られた短い刃物を避けるのは男にとって、赤子とチャンバラをする事ほどの問題でもなかった。
 

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